なぜあなたの腰痛は治らないのか?「マッサージをしてもすぐ戻る」「電気をかけてもその場しのぎ」…もしあなたが今、慢性的な腰痛に悩み、色々な治療を試しているのに根本改善に至らないのであれば、その原因は**「痛みの原因が特定されていない」**ことにあるかもしれません。
目次
腰痛治療で大切なこととは?
腰痛の治療において最も大切なのは、「どこが痛いか」ではなく、**「何が原因で痛みを発しているのか(=痛みを発している組織)」**を正確に見つけ出すことです。
当院では、患者様一人ひとりの痛みの原因を、筋肉・筋膜・脂肪層といった組織レベルで深く掘り下げて特定し、**「狙いを定めた」**施術を行うことで、根本的な改善を目指します。今回は、その**「組織学的評価」**、つまり私たちがどのようにあなたの痛みの原因を見つけているのか、そのプロセスを特別にご紹介します。
ステップ1:問診と視診
— 痛みの「ストーリー」を読み解く私たちは、患者様が来院されてまず行う「問診」を、単なる情報収集としてではなく、あなたの痛みの「ストーリー」を読み解く大切な時間と考えています。
1. 「いつから痛いですか?」
経過から病態を予測急性期か慢性期か?:発症からの期間によって、炎症の状態や治療計画が変わってきます。
症状の変化は?:痛みが徐々に強くなっているのか、良くなったり悪くなったりを繰り返しているのか。この経過から、痛みが生活習慣とどう関連しているかの仮説を立てます。
2. 「きっかけはありましたか?」
損傷と生活習慣の関連明確なきっかけがある場合:重いものを持ち上げたなど、はっきりとした原因があれば、筋や筋膜に**「損傷」が生じ、その後の「滑走障害(組織同士の動きの悪さ)」**につながっている可能性が高いと予測します。
きっかけがない場合:この場合は、日々の姿勢、特定の動作、生活習慣が積み重なり、じわじわと筋膜が縮んだり、緊張が高まったりした結果である可能性が高くなります。この情報を得ると、今後の評価は姿勢や動作の関連性に重点を置くことになります。
3. 「どこに痛みがありますか?」
痛みの「範囲」と「深さ」筋・筋膜性の痛みは、指で一点を指すのではなく、手のひらで広範囲を示すことが多いのが特徴です。
また、特に腰痛の場合、**「脂肪層(浅い組織)」**の痛みを、患者様自身が「表面の痛み」として認識しにくいという重要な事実を念頭に置いています。この組織的な違いを理解しているからこそ、患者様の訴えの裏にある真の原因を追求できます。
4. 「どのような姿勢・動作で痛みが出ますか?」
トリガーの特定前屈、後屈、ひねり、どの動作で痛むのか?「動き始め」に痛むのか?それとも「長時間座っていると」痛むのか?これらを細かく確認することで、痛みを引き起こしている「オーバーユース(使いすぎ)」の原因動作や、どの組織に力学的ストレスがかかっているかを特定する手がかりを得ます。
特に筋膜性の痛みは「動き始めに痛み、動いているうちに軽減する」といった特徴を示すことが多く、この情報が組織特定のヒントになります。
5. 「どのような痛みですか?」
痛みの質「ズキッとした鋭い痛み」ではなく、「鈍痛」「重い」「じっとしていられない」「ざわざわする」など、言葉にしにくい、曖昧な表現が多いのも筋・筋膜障害の特徴です。この表現のニュアンスも、他の神経的な問題と区別するための重要な情報となります。
ステップ2:疼痛除去テスト
痛みの「真犯人」を特定する問診で得られた仮説を検証するために、当院が行うのが**「第3水準の評価」、すなわち「疼痛除去テスト」**です。これは、ただ痛みを誘発するだけでなく、「痛みを発している組織」に直接アプローチし、その場で痛みが消失・軽減するかどうかを確認する、極めて重要なプロセスです。
なぜ「表層から深層へ」評価するのか?施術は、皮膚に近い**表層(浅い層)から、徐々に深層(深い層)**へと進めるのが原則です。これは、私たちが深層の組織を操作しようとしても、必ず表層の組織にも影響を与えてしまうからです。表層から順に評価と処置をすることで、表層の問題を確実に取り除き、混じりけのない状態で深層の問題を評価できるようになります。
私たちは、以下の順番で、痛みの組織を特定していきます。
1. 浅筋膜層(皮膚に近い層)へのアプローチ目標
皮膚のすぐ下にある、痛みに敏感になっている神経や滑走性の低下した組織を探ります。
操作:まるで本のページをめくるように、ごく弱い圧で皮膚を介して浅筋膜層の滑走性をチェックし、動きの悪い方向に動かします。
効果判定:この操作で痛みが半減以上すれば、痛みの主な原因は浅筋膜層であると特定できます。
2. 深筋膜層・脂肪層へのアプローチ
目標:浅筋膜層と筋肉の間にある、**「脂肪層」の滑走障害(動きの悪さ)や神経の過敏状態を探ります。この層の痛みは、「つまむ」**操作で激しい痛みを伴うことがあり、癒着による神経の伸張が考えられます。
操作:痛みを感じる周囲の脂肪を優しくつまみ、上下左右に動かして滑走性を改善させます。
効果判定:操作後に痛みがどう変化するかを確認します。
3. 筋実質(筋肉の本体)へのアプローチ
目標:筋肉の**「緊張が強い部位」や「圧痛(押すと痛いところ)」**を探します。腰では特に腸肋筋、多裂筋、腰方形筋に問題が生じやすいです。
操作:脂肪層の問題を除外した上で、最も簡単な**マッサージ(圧刺激)**によって筋緊張を緩和させます。
効果判定:緊張が緩んだ後、疼痛誘発動作での痛みの変化を確認します。
4. 筋間(筋肉と筋肉の境目)へのアプローチ
目標:多裂筋と最長筋の間、あるいは腸肋筋と腰方形筋の間など、筋肉同士の境目に生じた滑走障害を特定します。
操作:筋肉の境目に指や肘頭(ちゅうとう)を使い、深層へ圧をかけながら滑走操作を加えます。この操作は、他の筋・筋膜性の痛みよりも比較的狭い範囲に強い痛みを感じることが多いのが特徴です。
効果判定:この操作で痛みが半分以下に減れば、原因は筋間の滑走障害であったと特定します。
「どこを治すのか?」が明確だから改善につながる
これら一連の**組織学的評価(問診・視診・疼痛除去テスト)を行うことで、私たちは「痛みを発しているのは筋・筋膜である」という高い確信とともに、「浅筋膜なのか?」「脂肪層なのか?」「筋実質なのか?」という、より具体的な「痛みの原因組織」**を特定できます。
この明確な**「狙い」を持つことで、私たちは自信を持って次のステップである「機能評価」と「治療」**に進むことができるのです。あなたの腰痛の真の原因がどこにあるのか、私たちと一緒に突き止め、根本改善への一歩を踏み出しませんか?
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